葛とは、日本から中国、東南アジアにかけて広く分布するマメ科のつる性植物で、半低木性の多年草です。主に日当たりの良い山野に生育し、夏から秋にかけて美しい紅紫色の房状の花を咲かせます。日本に現存する最古の和歌集である万葉集において、山上憶良という歌人が連続して詠んだ次の2首から、葛の花は「秋の七草」の一つに数えられるなど、古の奈良の時代から親しまれてきた植物なんですね。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」(巻8第1537番)

「萩の花 尾花葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴朝がほの花」(巻8第1538番)

これらの歌が秋の七草の始まりで、七草粥となる春の七草とは対照的に、秋の七草は花を見て楽しむものでしたが、実際にはそのうちの多くが薬草として用いられてきました。

葛も、根や葉、花、つるに至るまでほとんど全ての部分が利用されてきました。その若葉や新芽は生のままてんぷらや炒めものにされたり、塩ゆでして和え物や酢の物として食べられてきました。葛の花やつぼみは、漬け物や葛の花ご飯、酵母、花酒、花酢など幅広く利用されてきています。つるの部分は編んでかごなどに形を変えてきました。

特に、葛の根には大量のでんぷんが含まれているのですが、その根から繊維質を取り除き、純粋にでんぷんだけ取り出して乾燥させたものは一般に葛粉と呼ばれ、葛湯や葛餅、葛きりなどに形を変え、現在でも滋養食や高級和菓子として親しまれています。また、葛の根は「葛根(かっこん)」という生薬名でも取り扱われており、多くの漢方薬に配合されています。中でも、ドラッグストアでも手に入る漢方薬の一つ「葛根湯(かっこんとう)」は風邪薬としても有名なのではないでしょうか。

それでは、葛の花はどうなのでしょうか。葛の花を乾燥させたものは、生薬名で「葛花(かっか)」と呼ばれています。特に身体を温めたり冷やしたりする性質はなく、そういう意味ではニュートラルな性質を持つ生薬です。また、味は甘味であり、緊張緩和や滋養強壮の作用があり、脾に作用するといわれています。葛花の主な薬理作用としては、醒胃止渇と解酒毒があげられるようです。わかりやすくいうと、葛花は「酒毒(しゅどく)を消す」といわれ、二日酔いの予防や解消に効能があり、昔から日本や中国、台湾、アジア諸国などで用いられてきました。史実的にも、中国の生薬について書かれた漢方の古典書物である「名医別録(めいいべつろく)」には、「葛の花は酒を消す」と記されていますし、黄門様でお馴染みの水戸光圀公が水戸藩の藩医であった穂積甫庵に命じて編集させた薬草の処方を記した書物である「救民妙薬(きゅうみんみょうやく)」にも、「酒毒には、葛の花」と記されていることから、古くから葛の花が持つ薬効が知られていたことがわかります。漢方薬としては、酒酔いによる嘔吐や口の渇きなどの解消に、砂仁や白豆蒜、沢潟、茯苓などの生薬と配合して葛花が用いられてきたわけです。

これまで、古くから漢方の生薬として利用されてきた葛花の持つ効能について見てきましたが、近年の研究により、その効能が科学的に証明されるようなってきました。さらに、それ以外にも薬効があることが明らかになってきたのです。では、科学的に証明されるようになった葛の花に含まれる成分に着目していきましょう。特記すべきは、葛の花には、イソフラボンとサポニンという成分が含まれているということです。

妊娠や出産に関係したり、肌質や髪質を綺麗にしたり、女性らしい体つきを促進する女性ホルモンをエストロゲンといいます。イソフラボンは植物由来のエストロゲンとも呼ばれることからわかる通り、エストロゲンと同様の働きをするといわれています。つまり、更年期障害や骨粗しょう症の予防や改善に効果があるわけです。また、ホルモンバランスが崩れ、エストロゲンが過剰に分泌された場合には、イソフラボンがエストロゲン受容体に結合し、エストロゲンの働きを抑えてくれもします。さらに、グルコース(ブドウ糖)を脂肪に変換させにくくする働きもあるといわれており、間接的にダイエット効果があるといってもよいでしょう。

次にサポニンですが、サポニンは大豆や高麗人参、オリーブなどにも含まれる苦みや渋みの主成分です。サポニンには、血管についてしまったコレステロールを剥がし落としたり、血中脂質を減らす働きがあることがわかっています。つまり、動脈硬化を進める過酸化脂質の生成を抑制し血流を促す効果があるといわれているのです。

従って、イソフラボンとサポニンのダブル効果で、体内の脂肪の代謝が活発になり、脂肪が溜まりにくい身体を作ることができるというわけです。これが、今俄然と注目を集めるようになってきた葛の花ダイエット効果のからくりです。さらに、イソフラボンとサポニンには、二日酔いの原因物質とされるアセトアルデヒドの代謝や排せつにも大きく関わっているといわれており、葛花の「酒毒を消す」という薬効が実証されるわけです。

つまり、生薬としての葛花は、更年期障害で悩んでいる人や、イライラしやすい人、肩こりなどで悩んでいる人、血流を改善したい人、骨を強化したい人、肥満を防ぎたい人、肝臓の健康を保ちたい人などに薬効があるといえるのです。

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